Softwind's diary

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足利の大規模森林火災―Massive Ashikaga Wildfires

 

Massive Ashikaga Wildfires―足利の大規模森林火災

 

  21日(日)に発生した足利市の両崖山山林火災は25日(木)も鎮火のめどが立たず燃え広がっているようです。 森林火災と言えば2019年10月から2020年1月末くらいまでのオーストラリアの大規模森林火災は記憶に新しいところです。オーストラリア独特の木であるユーカリ(ガムツリー)が圧倒的に多く、その種も700 種に及び、その95%以上がオーストラリア在来種になっている。中には樹高が80~90mにもなる種類(セイタカユーカリ)もあり、独特の森林景観をなしています。ユーカリの樹は、ユーカリ油として販売もされていますが、油分が多く含まれているので、落雷などや火の不始末などにより山火事を発生しやすいとされています。 8000匹以上のコアラが死亡し、5億頭の動物が死亡し北海道の面積に匹敵する規模森林を消失したとのことです。その当時、キャンプに訪れたグループが多く、 そのなかでの火の不始末でないかとの報道もなされていました。また、2019年のブラジルアマゾンの灼熱地獄となった熱帯雨林大規模火災も報道され記憶に新しいでしょう。2020年8月には米国のカリフォルニア州オレゴン州でも大規模森林火災が発生しています。 その後の調査で、

         降雨量の減少

         湿度の低下

         気温の上昇

         強風の頻度の高まり

 など、地球温暖化が1つの原因であるとの見解も出されています。 

 両崖山森林火災も降雨がほとんどない極度に乾燥した状態で、 強風が重なり大規模森林火災に発展しているようです。 特に日本では雨量の少ない瀬戸内地方での森林火災が過去に何回か報道されています。また現在では、コロナ禍により多くの人がハイキングやトレッキングやキャンプや野外BBQに訪れており、火の不始末が危惧されております。 実際、タバコの吸い殻なども見かけるわけです。両崖山森林火災の規模など報道だけではよく分からないので、 NASA地球観測衛星Terra/MODIS(可視赤外放射計)やアメリカ海洋大気庁のNOAA-20/VIIRS(可視近赤外画像放射計)の画像を取得しました。

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図1   両崖山の位置関係

   NASAのTerra/MODISの画像

 

図1に森林火災現場の大凡の位置を矢印で示してあります。 図2は森林火災前の2月10日のTerra/MODISの画像です。 図3は2月24日のTerra/MODISの画像です。解像度は約300 m位なのではっきりはしませんが、 両崖山付近から両毛線足利駅の南東方向へ煙が流れているのが分かります。

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図2(上) 2月10日のTerra/MODISの画像。煙は見えない。

図3(下) 2月24日のTerra/MODISの画像。→付近に南東方向へ流れる煙が見える。

 

この付近にお住まいの方は今のところ、けが人や民家に被害は確認されていない(ANNニュース)。また、これまでけが人や民家への被害はないものの、鎮火の見通しは立っておらず、近隣住民は「早く消えてほしい」と不安そうに話した。市は消火活動の長期化を見込んでおり、自衛隊などと連携して引き続き対応を続けていくとしている。(産経新聞)。 早く雨が降り、 鎮火してほしいものです。大規模火災の様子(ニュース映像)や手の施しようのない最前線の消防隊員や自衛隊の方々もかなり危険な状況とも思われます。

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図4 森林火災付近のTerra/MODISの画像(左)とNOAA-20/VIIRSの画像(右)

   2月25日煙は北西方向に流れている。

 

また、図4は2月25日の森林火災付近のTerra/MODIS画像とNOAA-20/VIIRS画像です。Terra/MODIS画像(左側)は煙の広がりの様子や煙の流れの様子が分かりにくいのですが、 NOAA-20/VIIRS画像(右側)に切り替えますと煙の広がりや流れが明確に分かります。昨日と違い北西方向に煙が流れ広がっていることが分かります。 森林火災の煙が30km以上は北西に広がり流れているようです。   

住宅地への延焼のおそれがあるとして、これまでに市内の合わせて207世帯に避難勧告を出していて、市内の3か所に設けられた避難所には25日午後5時の時点で合わせて9世帯15人が避難しているということです。 また東日本高速道路によりますと、現場近くを走る北関東自動車道は24日夜から一部区間で通行止めが続いています(NHKニュース)。

画像の比較ですが、Terra/MODIS画像はNOAA-20/VIIRS画像よりも渡良瀬川の流域がハッキリと見えます。 しかし、煙はNOAA-20/VIIRS画像の方が鮮明に見えます。 しかし、 2月24日の画像ではTerra/MODIS画像の方が断然、煙がハッキリと見えていました。 これは推測ですが、 2月25日になりさらに付近の大気の乾燥が進んでいるのではないかと思われます。 赤外線に強いTerra/MODIS画像のMODISは水分を鮮明にとらえますので、 渡良瀬川が可視光に強いNOAA-20/VIIRS画像よりもハッキリ写っていると思われます。 Terra/MODIS画像で煙が不鮮明と言うことは大気中の湿度がさらに低下していると思われます。ですので、足利市付近はさらに大気の乾燥が進んでいると思われますので、 山林火災のさらなる延焼が懸念されます。早く、森林火災が鎮火し、元の生活に戻れますように。 

 

 

引用

1)NASA画像: Terra/MODIS

2) アメリカ海洋大気庁画像: NOAA-20/VIIRS